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後日譚
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『まるで、御伽噺のようだったの。』の回
はぁい。れのは、れのなの〜。
王子様と犬は、ひと夏という長きに渡り、二人きりでスリープし続けました。
ここから先は、その後の、まぁ後日譚なの。
れの? れのには、れのの日々があって、それは秘密なの〜。秘密って、魅力的! 無意味に、甘い味なの〜!
「りのんちゃんの、宇宙船が落っこちたという場所は……この辺だったかしら〜? ケンも、りのんちゃんも、夏を飛ばすなんて、なんて愚かなの〜? れのはこの夏、危険なワンナイラブ・なんと! ナンパ相手を八人全員バッティングさせちゃって、男八、対、れの一……の、九ぴーをしたのよ。流石に、男が余ってる感じあったわ。クフフ……このことは、お二人には秘密にしちゃうのよ。なぜなら、おもろすぎるから!」
二人が、コールドスリープで眠る……と言って、りのんちゃんの宇宙船の落っこちた山に行った時、お見送りに行かなかったの。
忘れてた訳じゃないの。ただ、その時間に『マッチング』しちゃったの☆ それは、そこそこ、楽しめたの〜。
あっ……、りのんちゃんに、ケン! 居た〜! ていうか、起きて立ってるの!
「お二人とも〜。れの、登場なの〜。二ヵ月以上も、れのに会えなくて、寂しかった? 常世は、もう秋口よ」
「れの! 本物の、れの〜!」
こちらを見るなり、駆け寄って来て、バフっ! って抱きついてきたのは、りのんちゃん。
「れの〜。れのに会えなくて、寂しかった……」
綺麗なみずいろから、ターコイズブルーにグラデーションの掛かったかわいい瞳を、涙のしずくでウルウルにして、れののほっぺに、ほっぺをくっつけたの。相変わらずの、ひんやりなの。
「それは、自業自得ってものなの〜。その寂しさを埋める為、特別なコトをしてくれるのなら、可愛がってあげてもいいの☆」
「れの、ちょっとその態度は冷たいのでは? 二ヵ月ぶりの再会ですよ。りのんちゃんが、どれだけれのを好きか、分かっているのに……」
お餅みたいな、へちょっとした雑種の犬が現れたの。ケンなの〜。ふやけてないの〜。
「お二人とも、コールドスリープとやらのエスエフ行為をしたというのに、見た目もふやけてないし、立って歩いてるし、どうやら脳もまともに機能しているの。どして?」
「それが、俺の星の、科学技術ということだ。まぁぶっちゃけ、やってみるまで何も分からなかったから、失敗したら、ケンと心中しよ……って思ってた」
「エッ! 私に、そんな嬉しいことを、思ってくれていたのですか? 照れます〜……」
……やっぱり、れのは、一緒に乗り込まなくて、正解だったの。こんなことで、死んでしまっては、ゴメンなの。生きていたいの。今度は、男を一人増やして、十ぴーしたいわ。
お空は高くて、雲ひとつ無い秋晴れの良いお日和なの。
少し前まで、蒸し暑い日と、涼しい日、まるで繰り返しみたいに訪れたけど、今はすっかり毎日、適温なの。夜になると秋の虫たちも、素敵に音色を奏でているの。
「りのんちゃん。夏は終わっちゃったの〜。本当に、良かったの? レゲエ・砂浜……、全てが過ぎ去ってしまったのよ」
「仕方ない。『夏』は、『おんせん』が現実になったような温度だと聴いたから、ひんやりちゃんの俺は生きられなかっただろう。夏のお楽しみのお話を、れのからたくさん聴きたいな」
なんなの? なんだか、落ち着き払っているの。さっきは、れのと会えた嬉しさにウルウルしていたけど、なんだか……以前と、少し変わった感じがするの。
「くんくん。りのんちゃん、なんだか、美味しい匂いがするの〜。言いたかないけど、メンヘラ寸前のクソウザムーブ爆裂な鬱過去持ち薄幸少年だったくせに、今は、ただひたすらに美味しい匂いしかしないの〜」
これは、れのの獲物でしかないわ。どことなく、前に会った時よりも、素直に可愛くなったの〜。
「ケンが、『夢』の中で、ずっと一緒に居てくれたんだ。冬と、雪の世界が、おもしろかった。温かくて……」
りのんちゃんは、ニコッと笑いました。
わぁお。前は、そういうかわいいお顔はしなかったの。どちらかと言うと、悪役時代が長かったので、表情筋がお亡くなりになってる節があったわ。
「そうですね〜。これから暫くすれば、現実の世界でも、雪が見られるかもしれませんよ。まぁここは関東なので、あれほど綺麗には積もらないかもしれないですが……」
「ぺろりしゃす……これは……この期間に、ケンに、大分、しっぽりと仕込まれたようなの〜……弄り倒して、確認したいの〜」
ケンのお話をすっ飛ばして、りのんちゃんのほっぺをペロペロしてたら、お餅みたいな犬の手で、羽交い締めに取り押さえられてしまったの。
「尊い時間が、あったんですよ。お前のオカズじゃないんです。そーいう下品な言い方すると、犬チョップでお仕置きしますよ」
「犬チョップは、嫌いなの〜! この煌びやかなヘッドドレスが、無になっちゃうの! お仕置きするなら、気持ちイイお仕置きをまたして欲しいの〜!」
ジタバタするれのを尻目に、りのんちゃんが口を『皿』の形にして言いました。
「またケンは、れのを『お前』って呼んでる……。れのは、特別じゃないって、言ったのに……裏切りか? 背信か? うさぎパンチするぞ」
わぉ……下らんじぇらしーが、全開なの。まるで小学生男児。りのんちゃんってば、そういうとこ合法ショタ。
「あわわっ……ゴメンナサイ……。うさぎパンチは、超〜痛いので、勘弁して下さいね。りのんちゃんが、一番ですよ。れのは、一.五番でいいでしょう」
ケンは、謝るようで謝ってないような、これまた小学生みたいな屁理屈を垂れ流しなの。
まぁいいわ。それにしても、二ヵ月もの間、他のひとの一人も居ないで、顔突き合わせて、よくやってられたの。
エスエフ小説だって、喧嘩になったり気まずくなったり、きっとするところなの。
そして……なにか、濃ゆいプレイをしていたに、違いないの! そう思うと、参加しなくて悔しい気もしてくるの。
益々持って表情豊かにかわいいりのんちゃんと、どことな〜く余裕綽々なケン、二人きりの時間を過ごして、れのを置いてオトナになってしまったの?
そんなの、許せないの〜! れのは、賑やかしぢゃないの! 性的に開発された(おそらく!)りのんちゃんを苛めて責め倒して、れのに陥落させた後、ケンという名のオタク君に、その模様を一から十まで映した映像を送りつける精神攻撃をして、メンヘラに陥れるの〜! そして、ついでに最後はケンも支配して、れのの性奴隷にしちゃうの!
れのという、ピコというれっきとしたご主人様を持つ奴隷が、更に奴隷を持つことが許されるかって? 其の辺は、ピコの加減次第なの。
「おーい。ぜんぶ、口から出てますよ。妄想が逞しすぎませんか?」
「はぅあ〜! れのとしたことが……! ケンという、雑種の犬如きに心を読まれるなんて…?」
「だから、口から出てましたって……」
「れの、寂しくさせて、ごめんな。またこれから、三人で一緒だ」
りのんちゃんが、すすすーっって寄ってきて、ほっぺにチュってしたの。れのが、寂しいですって?
「そうですね。寂しかったですよね。……また三人旅しましょうよ」
「……ウ〜ッ! 寂しかったのぉ〜! ウェーン……」
可哀想に、れのは、しくしく、泣いちゃったの。
ケンも、りのんちゃんも、ずるいの〜! 勝手に熟年夫婦感を出しちゃって、小生意気なの〜!
れのも、一緒じゃないと、そんなの、ノー・ノー・ノーなの〜!
「アハハ! れの、泣かないで。幸い、生きて帰ったから!」
「れの、ごめんなさいね。メロンの飴ちゃん舐めますか? ひと口栗ようかんもありますよ」
その日……お二人から、いっぱいのお話を、聴いたわ。
かわいいマシュマロの色の、雪うさぎと、その友達のこと。
星屑の散る夜空に映える、キラキラ細氷のこと。
ベチャベチャの雪に塗れて泣いている、ひとりぼっちの幼い王子様を、運命の犬が、救ったという寓話。
そして、とびっきりにロマンティックで、めろめろな夜の、ナイショの恋の物語。
まるで、御伽噺のようだったの。
聴いているだけで甘くって、まるで、そう、マシュマロみたいに……トロリと、溶けちゃいそうだったの!
おしまい