第3回:

『?? ? ??? なの!』





はぁ〜い。れのなの〜。



この『お話』は……。




ピコから……れのが聴いた『お話』。


それはもう蕩けそうな程に甘くて、躯を串刺すように痛く、そして嫌になる程とびきり苦くて、心の……やわらかい部分の、幼い思い出エピソードで……。

これまでの色んな場面での、ピコの語り口を集めて、れのが、特別な魔法で、つぎはぎパッチワークして作った……小さなお伽話よ。



つまりは、この『お話』は、れのの作り話であって、事実かどうか? も、分からないの。あやふやなの。不確かなの。本当かも分からないの。

 
情報は断片的で、そして全てがピコの主観なの。それも、ピコが『選んで』れのにお話した部分だけ。
もしかしたら、それは凄く都合のイイお話だけかもしれないの。



でも、人のカコバナなんて、そんなものじゃない?



という訳で〜、ご待望の! ピコの、所謂、カコバナなのよ。
拍手〜! 拍手〜。



時は、せんきゅうひゃく・91年! 10才のピコ! 瞳に宿した、一番星はキラッキラ! ナイス晴天! 今朝も、堂々の登校!


「おはよう! ピコ! 今日のスクールガール風コーデ、かわいいよね〜♪」
「まぁ何を着ても様になるのが、ピコだけどね〜正直、羨ましいよ〜! ピコって、小学生にしてはナイススタイルだし〜」
ピコと、ピコの女の子のお友達なの〜。お友達は、ちょっと見た目ケバいね。子ギャル? 当時のように言うと……孫ギャル? ってやつ? 知らんけど。

「ピコ! ごきげんよう。貴方は毎朝、完璧だわ! わたくしに引けを取らないのではないかとすら、思ってしまうわ……まったく、素敵ね! 友と認めざるを得ないわ!」

「ピ……ピコちゃん……おはよう……い、いつもキラキラしてるね……いじめられっ子の私とは、大違いだな……? 昨日は、残酷な虐めから……助けてくれて、あ、ありがと……」

「ピコ! おはようだぜっ! 昼休憩のサッカー対決、今日こそ負けないゼッ!☆」

「……ピコ……君は、僕の天使。知りたいな、そのミステリアス……誰も彼も虜にしていく……そう、完璧なアイドル様だ……」

「ピッ、ピコちゃん、おはよう、ブヒヒ……今日も、新作、作ってきたよ。そう……自作ドローンさ……ヒヒっ……夕方、飛行テストするから……見に来ないと、オシオキだぞっ……なんちゃって! ヒヒッ……?」

「ピコおねえちゃん、おはよっ! あっ! スズメさん、ばいば〜い♪ ねぇ、今日も、姫のお洋服、カワイイ? ピコおねえちゃん、褒め上手だから、姫、褒められたいの〜?」



……訳のワカラン連中が、ワラワラと寄ってきて……次々と、ピコに朝のご挨拶してくるの。

見たところ、この人ら、キャラクター(この場合、性格ってこと!)や、学年・性別には、まるで統一性が無いの。
この……クラス一軍! ザ・リア充ぐるーぷ! から……恐らくの、底辺層の陰の者……に至るまでの、色々なキャラクター達……。
なんと! 先程のご挨拶のイロイロを聴いての通り……み〜んな、ピコの、大ファンなの!


早熟だったピコは、ぼん百の皆より、心がひとまわりオトナに育っていたのね。
だから、学校というカースト制度の暗い檻から、気持ちが解放されているの。
猛烈な光の存在・ピコには、昨今を騒がしている、スクールカースト問題など、無縁の話なのよ。
一般的な生徒には……人間関係の問題はそりゃあもう、ひっくり返っちゃうくらい、タイヘンな一大事なのにね〜。

学校という小さな宇宙における……様々な、癖ありキャラクターから、み〜んなに好かれてるピコは、奇跡の光の存在。そう、奇跡の星ね。


輝く一等星! その光は、ちっぽけな一般人を照らし、癒すのよ。
ピコは、そう正に! ピコの愛する、『光のかわいい』を……既に、その身で体現していたんだわ〜!

れの的には、このメンツの中では、「スズメさん、ばいば〜い♪」の『姫』が気になるわ。強烈な、ぶりっ子ってやつね。でもお顔や仕草、かわいいの。
小学校低学年で、こいつは魔性だわ。一度、手合わせ願いたいの。
 


「みんな、おはよ! 今日は、お空もニコニコだね」



そうピコが無邪気に言って、ぽかぽかお日様のようにニッコリと笑えば……。
このピコに群がる有象無象どもは、ほら見て、もう、ポワワワ〜ン……で、みんなニッコニコなの! ヘラヘラなの〜!


ピコは、小学校という、ゆーとぴあの、太陽なの。


れのはね〜逆に、ここにいる全員から、アホほど嫌われたいわ。
余りの、れののかわいさから、みんなの嫉妬を買って、毎日、イジメられたり、逆にイジメたりするのよ。だって、ソッチのほうが、絶対にオモロいから。
こんな連中、れのはどいつもこいつも、大っ嫌いなのよ。
ピコに憧れる気持ちは本物かもしれない。でも、おこぼれを狙ってるヤツも居るはずだわ。

けれどピコは、今でもだけど……人の好き嫌いっていうのが、無いのね。裏表が無いのね。
誰にでも……その場が湧いてたら、一緒に楽しむし、もしも誰かがいじめられて泣いていたら、いじめっ子を悟したり正すことだって出来るの。
だからね。ピコは、カースト一軍という言い方はおろか、まぁ言ってみれば……この小学校という小さなムラ社会の、トップ・オブ・トップ!
そんな10才、信じられる? れのは、信じたくないわ。
こんなところのトップを取っていたって、まったくもって、ケツの青い小生意気なクソガキなのよ。



でもこれが、過去のピコ。





「ピコ。おはよ」


……およよ? 聴こえるか、聴こえないかの……小さな声がまたひとつ。


「……としお。おはよ!」


ピコに声をかけ、群がる取り巻きの中をスッとすり抜けるように去った影。

ピコより一回り以上も小さい躰の、あれは、ハムスターの男の子ね。
ジャンガリアンハムスターっていう、小さいハムスターなのだわ。

もっしゃもしゃに……伸び放題な、やな感じに曇った空みたいなグレー色の長い前髪から、薄ら見え隠れする、ぐるぐる眼鏡。
ふる〜い漫画の、『イヤミ』みたいな出っ歯。ちっさな手。


こりゃまた、さっきご挨拶してきた、ドローンがなんちゃら〜のオタクくんよりも、『陰』のキャラ……?
ううん、これは、『陰』なんてものを通り越した……『無』! 『無』のキャラなの〜。


だけどだけど〜……ピコのおっきなツリ目の瞳の奥の、輝く星に、今の一瞬、更にピカピカの煌きが、燃えたの。



それはね……ここにいる誰も……口には出さないけれど、もしかしたら、ここにいる全員も、本当は……知ってしまっているのかもしれないの。



ピコの、小さな身体に、焔が灯る。


ピコは、としおに、恋をしてるの。







キンコンカンコ〜ン。お昼休みよ。美味しい給食を食べたら、スヤスヤ寝ちゃうに限るの。
れのは学校なんて通ったことないから、想像だけど。

さっきも言ったけど、この思い出のカケラ達には、れのの主観も入ってることを忘れないでね、うるうる。



「としお。今日の『人形』、できてる?」

ピコが、教室を離れて一人で来たここは……ひと気のない、『図工室』。
工具がしまってあったり、とてもおっきな机があったりして、様々な工作的なことが出来る専門的な教室よ。
でも、お昼休みにココに来る生徒なんて、ほとんど居ないの。

おっきな机に、えーよんサイズのコピー用紙を広げて、黙々と…… ちっちゃな手でなにか弄っているのは……あっ、『としお』!


「ピコ。新しい『人形』は、もうそろそろ完成だよ。君に渡せそう」

もしゃもしゃ、フワフワの、分厚くて長い前髪。しかも、度のぶっとい眼鏡で……。
さらに今は、俯いているから特に、どういう顔なのか、ぜんぜんよく分からないの〜。



う〜ん、でも、これは、れのの作ったお伽話だから……特別に☆ としおのお顔を、くわしく! レポしてみましょうよ〜♪


目は……所謂、つぶらな瞳……だわね。かわいいとかいう訳でもなく……特に、お伝えした特徴とか無いんだわ。
鼻が低くて……一番目立つのは、さっき言ったけど『イヤミ』みたいな、歯。

う〜ん、でもそうは言っても、特段、ブサメンって訳でもないし……無論、美しくもなく。正に、『無』。

お喋りの声は、別にイケボでもなければ、ボソボソでもなく……まぁひとつ言うとしたら、あまり……お喋りに、抑揚というものが無いかもしれないの。


『としお』の見た目から……なんの印象も入ってこないの。
『ビジュいいじゃん』の逆。……『ビジュ無いじゃん』?

クラスに居ても、きっとみんな、数年後には名前も存在も、忘れちゃうのよ。



でもね……これは、天性のどS的なれのが、としおを詳しく見て感じる密かな想いだけど……(れのは〜どSでもあり、どMでもあるの〜☆ ヨロシクなの☆)
しゅっごく……「虐めたくなる」風貌……。おっと……。ヨダレが……。

なんかね、なんかね! こんなにも、何も持って無さそうなのに、凄く、堂々としてるの……。
としおは、もしかしたら、集団には属さなくても……俯瞰で、ものを見るタイプ? 強いのよ。
こういう、打たれ強いのこそ、叩いて潰して煮込んで混ぜて、所謂尊厳破壊して、グチャグチャにしちゃいたいの〜。

はぁはぁ。これは堪らないの。けど、ご主人様の、思い出のひと? よくワカラン存在! ……を、性的に貶める妄想など、言語道断なの〜。
だから、これは、お持ち帰り案件にし、後でこっそりとオカズにするの。



ピコは……なにか手元でモチョモチョやっている、としおの足元に座って、そのちっちゃな手元に、ちょこん、とお顔を乗せたの。おっ。


「『人形』……もう、何号目になったかな? 10号は越えたかナ?」
「そんなに作っていないよ。ピコは、大袈裟だ」
「だって……アタシ、これが何よりの楽しみなんだヨ!」

「……完成したよ。はい」



『人形』って、さっきから、何なの?

ちょっと、覗いてみましょうよ。



えっと……えーよんサイズの、適当な、裏紙の上に、なにか、乗っています。

ちっさ! なんかよく見えないし、分からないの! ……これは、ミニチュア細工……?



……お〜っ! このお人形、よく見たら……さっきの『姫』!

 

朝、ピコにまとわりついて、「姫は〜ピコに褒められたいの〜」とか言っていた、一人称・『姫』の、現代ぶりっ子女子なのよ。


もしかして、もしかして、としお……小学校メイツを、勝手にお人形にして作っているの?
わぁ! 趣味……ごっつ悪いの〜!……って皆、こんなこと、きっとれのにだけは言われたくないの!でも、趣味わる〜!


「姫じゃん! すっご〜い! この、小首をかしげてアヒル口をしてる仕草、ソックリだよ。今回の『人形』も、ホットだよね!
こんなに面白いことって、そうそう無いよ! ……ありがと! としお!」

エキサイティングの、ピコ。
白い耳を、それこそぴこぴこ、動かして、『姫の人形』を手に取って、大はしゃぎ。
この言動……。ピコも……性格、良くないのだわ?
ご主人様に、こんなところがあったなんて……まぁ、構いやしないけど。


「『こんなに面白いこと無い』なんて、言う程……面白くはないと思うけど」

としおは、真顔でそう言ったの。ピコに褒められても、皆みたいに、ポワワ〜ン……♪ に、ならないのね。


「としおは、人物をデフォルメする才能があると思うヨ! だってね、毎回としおの作る『人形』は、学校にいるみんなが……こんなに、中立的な目線で、造形されてる! これって凄いな。こんな技術や思考、アタシ達と同い年とは思えない。それにそもそも、こんなに小さくて、リアルで繊細な『人形』を作る、っていう、趣味自体も、凄く良いヨ」

「だから、ピコは大袈裟だ。『人形』は、どこかに出展している訳ではないし……君と俺しか、これらを見ないのだから」



としおって、クールなの? っていうか、個人で、学校の人々を『人形』になんて、形にして作ってる割には、生の、学校に通ってる人たちには、まったく興味がないような雰囲気を醸し出しているの。



「としお……聴いて。君は……小さな、星だよ。私の……星」


……アレアレ?
ピコ……ピコは今、としおに、告ろうとしてる?
お顔がね……女の子の顔になってるの。今日一日、朝からキリッと決めていて、誰にも……そんな顔を見せていないの。


「今はまだ、誰も……としおに、あなたに、気付いていないけど……アタシたち、きっと一緒に輝ける! ね……アタシたち……きっと『同じ』だよね? ……よね……?」




どきどき……心臓の鼓動が聴こえてきそうなの。ピコの瞳は、うっすら、うるうる涙で濡れている。




さてさて? としおくんの、気になる、お返事は?



「ピコ。俺が小さな星なら……君はさながら、傍で一際、きらきら綺麗に煌く一等星だ。君の光で、俺は、光を失うだろう」

「え……」

「君と俺とは、一緒になれない。俺という何も無い星は、君という星の巨大な光に、飲み込まれて消えていく」

「……」


二の句が次げない、ピコなの。これは……厳しいお返事となっちゃったの〜。おろろ〜。



「けど……勇気を出してくれたお礼に、君にだけは言うよ。俺、実は今日で、学校を辞めるんだ。
大した学力も、将来の期待も無い俺に、学校に行くという行為は……意味が大きすぎる。家族の為に、工場で働く道を選ぶことにしたんだ」



えっっ……。しかも、まさかの、お別れなの〜? これでは……あまりにも、あまりにも、寂しすぎるの〜!
さしもののれのも……ビックリ展開なの〜!


「えっ……待ってよ。としおは、才能があるよ。キラキラしてる! 皆とは……一緒に混じらないけど、代わりにこうして『人形』も作れるし……!」

「この『人形』は、遊びだよ。ずっと、俺の作品の、いちコレクターで居てくれて、ありがとう。
もう、次の作品は出ないけど……ピコは、俺の『人形』を楽しむよりも、いつものように、学校の主役で居てくれ」



「……アタシのこと……好きじゃ……なかった? アタシの……勘違い?」



ピコ、既にポロポロ泣いてるの〜その質問は、恐らく、今しないほうがいいの〜……でも、ぽろぽろ、涙も言葉も、止まらないの。
狭い図工室は、大きな窓からさんさんと夏のお日様に照らされて、めっちゃ埃っぽい室内で、まるで悲しいピコを包むように、埃がなにもない宙にキラキラと反射していたの。




「さよなら、ピコ。お別れを言えて良かった。皆がそうするように、君を愛せなくてごめん。でも、俺はきっと……誰も愛さないから」



なんということでしょう!
ピコは、誰からだって、大好き! って思われる、はいぱー超人でありながら……自分が恋をした、としおにだけは、ぜんっぜん好かれていなかったの!

痛いの! 手ひどい勘違いなの! 余りにも幼い、勘違いなの! おろろ〜。




「……ごめんネ。としお。……バイバイ」



涙のひと粒ひと粒が、ビー玉のように、お掃除が行き届かずあんまり綺麗じゃない床へ落ちて、無慈悲に滲んでいくの。


「君の涙を止められるのは……きっと俺じゃないんだ。謝らないで。さようなら。ピコ」






ピコは、思いましたの。


『どうして? としお。

アタシ、君と、まるで『ひとつ』だと、思ったの。

君は、そう思わないの?

一緒にいると、魂がポップコーンみたいに弾けるの。運命の人だって、そう思ったの、アタシだけだった?

どうして? どうして?

君は、アタシに……恋を、していない……。



ここは、どこ?

蝋燭の火が順番に消えちゃって、最後には、真っ暗になっちゃった、誕生日の終わりのお部屋みたいだよ……。

アタシを、みんなが、好きになる。けど君は……どうして?


好きに……なってくれない? ……なぜ?』





……それが、最後にピコが、としおと会った瞬間だったの。





そして……なんと! なんとなんと〜! それから……9年もの……歳月が! それはもう、あっという間に! 流れてしまったの〜!

なんて、なんて、悲しい、時間の無駄遣いなの〜?



ピコの青春には、可能性という広がりがあったのに、ここから先は、この出来事が大きく尾を引いてしまい、超〜グダグダになってしまうのよ!

でも……そんな9年……。光陰矢の如し……なの〜。



ピコは……それからも、当たり前のように小学校の太陽で有り続け、それは、その次の、中学校に上がってからもそれは続き、ザ・人気者青春ライフを送ったわ。
そりゃあもう、それから後も、多方面からモテ続けの、ダイヤモンド烈伝なの。


そして、中学・高校と、普通〜に……適当な男の子と、カレカノになり、お付き合いをしたりもしたの。

十六才の時に同い年の、お友達の男の子と、勿論合意の上で、処女を捨てた、と言ってた。
ちなみにその男の子とは、お付き合いはしなかったの。お互い、一回きりの興味本位だったんだって。初体験の感想は……「『まぁ最初だし、こんなものか』」。在り来たりの文言すぎるの。
れのは、残念なことに? 女の子の人生を送ってないから、それが嬉しいことなのか、悲しいことなのか、かんたんに判断はできないの。



その暫く後、ピコは、これまた一度だけした援助交際で(イケナイこともしてるのね)、その時一度だけ行為した、パパ的な人に(まぁ〜都合よくイケオジな人物では、なかったらしいが……)、渡すお金を大きく上乗せするから、攻め身に回って欲しいと頼まれるの。



これが……現在のご主人様! 『女王様』の爆誕! だったのでした〜!



イケオジじゃなかったらしい〜とか言っちゃったけど……れのは、そのモブオジに感謝しなきゃね!

だって、ピコが女王様として華麗に目覚めないなんて、宝の持ち腐れなの〜! 世界的損失なの〜! 世界遺産大爆破なの〜!




だけど……ピコの躰には、あのお別れの日の焔が、燻り続けていたの。としおと、お別れした日の、それは残煙。



ピコは、心の中で……いつも、としおを、賛美するのではなく……虐めたかったのよ。

それは、自分ではどうしようもない、破壊衝動・加虐したいという本能・ピコの、持って生まれた、罪。



『人形』を作る小っちゃな手を見ていると、ピコのまだ淡いピンク色のハートの奥の、ドス黒い加虐心は疼いて、幼い子宮がドクドクと脈打ったと、後に……れのに、言っていたの。


それは、いつまでも、いつまでも、永遠に近く、ピコの心の芯の部分と、細く小さな躰を焚いて……。
誰にも、分からないの。
誰からも好かれてしまう特殊な人なんて、ピコ以外に見たことないし、それなのに、大好きな大好きな人にだけは『恋』してもらうことが、出来ないなんて。



ピコはいつしか、決めてたの。


「このどうしようもなく身を焼く欲望と焔は、それを望む奴隷共に、叩きつければよろしい。


そう……加虐したいという欲は、恋なんかじゃないし。ただの本能、性欲だし。



としおと恋をしないのなら、私は、一生誰とも恋しない。」




そう言ったところで……ピコの、闇の焔は消えないの。きっと、これから先も。




ピコの愛する好きなもの、光の、きれいでかわいいもの。

だけどピコの心の中は、ず〜っと一面の、絶望色。




れのはね……ここからは、れのの感想ですよね? だけど……そんなピコだから、最っ高に『かわいい』と思うの!



「もっと、アタシに光を! 光の、かわいいものを!」




盛大に闇の足枷を引き摺りながら、陰を背負った女王様は、今日も叫ぶの。それは、光に恋焦がれ縋る姿そのもの。生きている、業。



かわいいの。だって、最高に、『生きてる!』って感じ、するでしょう?

れのはね……今から、真面目をお話しますが、人の本質って、そういう、どうにも出来ないところにこそ、あると思うの〜。
ピコが、本当に、皆から好かれるキラッキラの光の存在であれば、れのは、ピコをご主人様と認めないでしょう。
そりゃもう、としおみたいに、冷たいキャラになっちゃうの!




その後、としおは何処で働いて、どうしているか、同郷の誰にも……まったく分からないの。
まぁ、普通に健康でどっかで元気に、働いているでしょう……。誰も興味がないだけで……。


けど、あの日を境に、目の前から居なくなってしまったということは、消えてしまったのと同じことよ。

ピコは、今日も心で叫ぶの。



「もっと、光の、かわいいものを! あの……『人形』を作り出す、小さな指先みたいな!」



あぁ……やっぱり、ピコって、最高『かわいい』の!


これだから、ご主人様と居るのを、やめられないの!






なんてこのお伽話は……残酷なのでしょう……。



めっちゃ本当に残酷なのは、これが、ツギハギとは言え、ほぼ、ノン・フィクションということなのよ。






ピコの現実……という、ことなのよ。おつらいでしょう?

 









☆一旦、カコバナは
おわりなのよ。
でも、つづく☆